「たいせつ」 野村義男 BLコミック


「あっそ。どうりであんた、女みてーに色白なわけだ。俺なんてよ、皮膚の裏側までびっしりニコチンで汚染されて、しまいにゃこんな色黒だ。…なんてな。ホントは地黒なんだけどよ」。「触らないで…」。その瞳は、淡い金色に光っていた。高嗣がきっぱりと言った。性急に舌を絡められ、吸われる。「狭いんだから、協力しろ」。小さなため息をもらした飯島は仕方ないといった表情をしながらも、トオルを起こさないようにと、そっと肩越しに腕を伸ばし、時計の横にあるコードレスの電話を取り上げた。

「俺が留守してる間に、浮気でもしたのか?」。背を向けたままの阿久里に、ぴたっと寄り添ってローランドは囁いた。真崎が俺の肩を抱く。汗が一滴、目の中に流れる。まばゆいほどの白いコットンシャツに細身のジーンズを合わせ、素足に履(は)き古したスニーカーをつっかけただけの姿は一目でこの近辺に住んでいることをうかがわせる。その手が握っているものは、煙草とライター。

「ずるいよ、真樹雄。言葉だけで、その気にさせるなんて反則だ」。俺は両腕を真玄の背に回した。

自分が酔っ払っている自覚症状は充分にあった。

「大門さん、人を好きになったら、どうしたらいいんですか。おれはそんなこともよく知らない。火を熾し、鋼を叩くことしか知らないんです」。それは……告白なのだろうか。「ひゃっ!な、なにっ…」。そう決めると少し気分が良くなり、衣緒は映画館を後にしてホテルを目指すことにした。


ボーイズラブ小説作品紹介


バレンタインデーが間近に迫る頃、仕事先で顔を合わせた吉井と、久しぶりに話をしたトオルは、彼が恋人とのあいだに問題を抱えているように感じてしまう。その話を聞かされた飯島は、気にかかる相手だけに放ってはおけず、トオルに黙って吉井のアパートを訪ねた。あらぬ疑いを抱かれないようにと、飯島は気を遣うのだが、吉井のことばかりを心配する様子が、トオルには納得できず……。

タイトル:終わらない週末ブロークン・チョコレート
著 者 名:有馬さつき
レーベル:奪われた白衣
発 行 元:講談社

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