全部セット 末続慎吾 BL小説


逃れるように酸素を吸った。「これがコーヒーか?」。身に余るほどの幸福に、俺は酔いしれ、その重圧に、今にも押し潰されそうだった。「大使館に戻ってすぐに伺ったのですが…」。

ただ無言で俺の背に両腕を回し、ゆりかごのように優しく体を揺らすばかりだ。「レポート?」。

もしかしてそれって……。魔王にとっては、人間以上に意味がないだろう。胸に澱んで溜まっていくものを抱えながら、肉体に与えられる刺激に意識をシフトしていく。息を呑(の)むほどの美び貌ぼうに蕩とろけるような笑みを浮かべた生沢(いくさわ)恭介(きょうすけ)は、アメリカ出張から帰ってくるやいなや、梓の手を引っ張って強引に寝室へと連れ込んだ。「遅かったな。どうした?」。なのにそんな苦労も知らず、元ダンナが平気で変態行為に走っていれば、頼子さんだって腹もたつだろう。水穂が対策を考えている間に、泰昭はミニバーに入ってしまった。

いい雰囲気になってきた。

「こら、動いちゃだめだろ。おとなしくして」。やがて燃えるような朝陽が大神殿の真向かいから昇り始めると、眼に映るすべてのものは本来の彩りを鮮やかに取り戻していった。「こんなところでキャッチセールスかよ」。「じゃあ、僕が嘘をついているって、悠仁さんはそう言うんですか?」。抱きしめてくれる頼もしい腕から、その真摯な思いがはっきりと伝わってくる。広瀬の顔が近づいてきて……何か熱いものが唇に押しつけられた。

真冬の太陽は既(すで)に空高く昇り、明るい陽射(ひざ)しを落としているが、きっちりと下ろされたブラインドからは一筋の光も射し込まず、まるで外界から閉ざされているかのように、ゆっくりと時間は過ぎていった。


ボーイズラブ小説作品紹介


一つ年下の従兄弟・英介と恋人同士の祐。でも、英介にキスされて、男同士で恋人というのは不健康かも……と我に返ってしまう。関係を白紙にしてほしいと頼んでみるが、もちろんうなずいてくれる英介ではない。別れ話は保留のまま、祐は普段通りに英介と行動をともにする。そんな曖昧な状態のとき、電車内で男の痴漢に遭遇した祐は……。二人の関係はどうなるの?

タイトル:お前のワガママだけ聞いてやる
著 者 名:高月まつり
レーベル:アイス文庫
発 行 元:オークラ出版

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末続慎吾の新関連情報

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